アンナ まなざしの向こうに
舞台は1960年代初めのドイツ。郊外の田舎町に11歳の少女アンナは母親のソフィーと幼い弟ローリーの3人で暮らしている。アンナは父親の顔を知らない。近所の工場を経営している短気なフランツの弟であったということ以外は何もわからない。父親フリッツは、戦争に行って戦死したとソフィーから聞かされていたのだ。母親のソフィーは、愛する夫を失ってから仕事もせずに酒に溺れる毎日を送っている。生活は苦しく家賃は滞納し、アンナが中学に進学する資金にも困っていた。何とか今の生活から抜け出したかったが、父親のいない家庭に社会は冷たく絶望的だった。そんなある日、ソフィーはアンナにフリッツが実はまだ生きていて、フランスのどこかで暮らしている事を告白する。それを聞いて、アンナはいっか父親に会える事を夢見て前向きに生きて行けると喜んだ。そして、ソフィーもアルコール中毒での入院から回復し、家族が幸せになりかけたある日、フリッツから手紙がソフィーに届いた。手紙には、もうソフィーとアンナの元に帰ることはないと書かれていた。絶望から酒を浴びるように飲みソフィーは命を絶った。ローリーとはなればなれに暮らす事になりフランツに保護されるアンナ。まだ見ぬ父親フリッツに自分の想いを伝えたい。そして、父親に会いに行くためにアンナは一人国境を越えて行った。しかし、そこには意外な事実がアンナを待っていた。
- 公開日
- 2003年9月6日(土)
- 監督
- ウラ・ヴァグナー
- 脚本
- ウラ・ヴァグナー
- 撮影
- ヨランダ・ディレウスカ
- 音楽
- トマス・オスターホフ
- 製作年
- 2000
- 製作国
- スイス=独
- 原題
- ANNA WUNDER
- 上映時間
- 98
- INTRODUCTION
- 物語の舞台は1960年代のドイツ。郊外の田舎町で暮らすのは11才のアンナと幼い弟と母親の3人。アンナは、戦死したはずの父親が生きているという話を聞き、一人国境を越えて探しいく。主人公のアンナを演じるのは、ドイツ国中でのオーディションによって抜擢され、本作がスクリーンデビューとなった、アリス・ディーケリング。新人とは思えない演技と、大きく力強い瞳が、苦しい生活の中明るく前向きに生きる姿を象徴している。アンナの母親ソフィーを演じるのは、オランダ出身で、ポール・バーホーベン監督作品やハリウッド作品の出演等、国内外で活躍しているベテラン女優のレネ・ソーテンダイク。監督はウラ・ヴァグナー。 本作が長編映画初監督となるが、これまでのTV作品や短編映画の製作、演出、脚本、編集の仕事を経験してきている。60年代ドイツの田舎町の風景や人々の生活を見事に再現し、母と娘、男と女の愛の物語を女性らしい視点で描いているのは見事だ。この物語の背景は、1960年代のドイツである。ドイツは第二次世界大戦敗戦後、米ソ冷戦の時代の象徴であった。1949年、ドイツの東西分裂、その後1955年の西ドイツのNATO加盟、東ドイツのワルシャワ条約機構加盟により、1961年『ベルリンの壁』が構築された。西ドイツはフランスとの友好関係を軸に西ドイツの主権回復に成功し、西ドイツは日本と同様の奇跡的な経済復興、高度経済成長を遂げていくことになった。本作は、ベルリンの壁が構築された1960年代のドイツを描いた物語である。
- STORY
- 舞台は1960年代初めのドイツ。郊外の田舎町に11歳の少女アンナは母親のソフィーと幼い弟ローリーの3人で暮らしている。アンナは父親の顔を知らない。近所の工場を経営している短気なフランツの弟であったということ以外は何もわからない。父親フリッツは、戦争に行って戦死したとソフィーから聞かされていたのだ。母親のソフィーは、愛する夫を失ってから仕事もせずに酒に溺れる毎日を送っている。生活は苦しく家賃は滞納し、アンナが中学に進学する資金にも困っていた。何とか今の生活から抜け出したかったが、父親のいない家庭に社会は冷たく絶望的だった。そんなある日、ソフィーはアンナにフリッツが実はまだ生きていて、フランスのどこかで暮らしている事を告白する。それを聞いて、アンナはいっか父親に会える事を夢見て前向きに生きて行けると喜んだ。そして、ソフィーもアルコール中毒での入院から回復し、家族が幸せになりかけたある日、フリッツから手紙がソフィーに届いた。手紙には、もうソフィーとアンナの元に帰ることはないと書かれていた。絶望から酒を浴びるように飲みソフィーは命を絶った。ローリーとはなればなれに暮らす事になりフランツに保護されるアンナ。まだ見ぬ父親フリッツに自分の想いを伝えたい。そして、父親に会いに行くためにアンナは一人国境を越えて行った。しかし、そこには意外な事実がアンナを待っていた。
- CASTING
- ●アリス・ディーケリング ●レネ・ソーテンダイク ●シュテファン・デルグリュン ●ゲッツ・シューベルト ●フィリップ・ペータース ●監督/ウラ・ヴァグナー ドイツ・デューレン生まれ。ベルリン大学で演劇やジャーナリズムを学び、81年からTVシリーズや映画の製作、演出、脚本、編集、キャスティングなど、さまざまな部門で多くの作品に関わってきた。児童むけの短編映画の脚本・監督のほか、映画財団の奨学金による製作プロジェクトのための脚本も手がけ、本作で長編劇映画を初監督する。ケルン在住。